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このページは十和錦について書いています

 
ある日のことでした。高知県の中村市でお米を扱っておられる鴨居さんからご連絡をいただきました。
「当方で扱っているお米を見て欲しい」とお話をいただいたのです。

 少し長くなりますが、先に弊店のお話をいたします。おかげ様で、国内はもとより外国からなど遠方や各方面から
取引のお話をいただきます。
いろんな栽培方法やいろんな品種、いろんな特徴、地域のお米に触れる機会が多いため、お会いする前に資料を
書面で送っていただくようにしています。

 そんなわけで中村市の鴨居さんにも同様にお願いをしました。
数日後、手書きの封書が送られてきました。文中に商品をアピールする箇所はあまりなく、自然に農業をやって、
米を作っている様子の生活感のある手紙でした。
その日のうちに弊店から電話をしました。
お手紙のお礼のあと、鴨居さんのお話を聞いていました。
自然栽培にこだわり過ぎている様子でもなく、品種にこだわり過ぎていることもなく、
今どきの商売上手な農家さんではない雰囲気がよく伝わってきました。


 弊店から伺いました「高知県ならば香り米の類はござませんか?」
驚いたように、そんなものでよければありますよと、すでに県内向けで販売をしているとおっしゃいました。
つぎに品種を尋ねたところ、高知で代表的な品種は全て扱っておられることが分かりました。
サンプルと説明文を添えて送っていただくようにお願いをしました。

送られてきた説明文には一番のお奨めは「十和錦」ですと記されていました。
書いてあるとおりに試食をしました。

世界中の米を試食している弊店にとって「香り米」は珍しい米ではありません。高知の香り米もすでに販売をしていました。
ただし、送られた香り米は、玄米の香り、炊飯の香り、ごはんの香り、食味、どれをとっても
大げさに言えば「この米は日本中で受け入れられる」と感じれるお米でした。
早速、十和錦について追加説明を求めました。
「どうしてこのお米を作っているのですか?」

弊店の周辺農家の方にも意見を求めました。兵庫県でもかつては「香り米」は生産していましたが、現在の品種の
味が受け入れられ姿を消していったということです。
かつては各地で盛んに栽培されていた香り米も、今ではわずかな地域でしか見る事はありません。
中村市からの調査結果の返答が来るまでに、高知県の生活習慣や食生活、産業、地理など特徴的なことを調べました。
四万十川流域に香り米の食習慣があり、四万十川周辺は国内有数の林野があったり、香り米の栽培条件から見た
四万十川周辺など・・それらしい説明が出来そうなデータは揃うものの決め手がないのです。

 心待ちにした返答が届きました。
「なぜ香り米を作るのか?」という問いに、客観的な答えを見つけようとされたのでしょう、鴨居さんはご自分で
ご近所、知人など大勢ににインタビューをしてくださっていました。

なぜ香り米を食べるのですか?香り米のどこがおいしいと感じますか?と一人一人に聞いて回ってくださったのです。
鴨井さんの努力おかげで、ありのままの答えが得られました。”香りがないと心もとない”とか”あの香りが食欲をそそる”
といった意見もまとめて鴨居さんは私たちに分かりやすい結論を出してくださいました。


「こちらではカレーでもおにぎりでも香り米を使う。
スーパーには売っていないので農家じゃない人は米屋でわざわざ香り米を選んで買う。
ほかにどんな米があるとかないとか、土佐の料理に合うとか、どこで食べればおいしいとかではなくて
米自体をおいしいと感じるのです。
だから食べるのです。だから作るのです。」と。

「香り」や「嗜好」というものに言葉での説明は無意味であるように感じた日でした。
香り米は、お米です。香りは嗜好の要素が多いものですが、
お米の味が優れているからこそ、香り米のなかでも十和錦は愛されているお米なのだと考えています。

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